Peugeot 206CC

 20代の別掲後席取り外し初代軽Z、そして別掲後席常時折りたたみミッドシップ軽Zと2シーターとして使い回して来たが、長い事 CRX Del-Sol を思い続けてはいた。

HONDA CRX Del-Sol

 特にマイナーチェンジ後のぬめっとしたフロントデザイン、Bピラー骨太デザインタルガトップ、そしてこれまたぬめっとしたハイデッキなリアデザイン、見るたびにウットリしばし恍惚状態なのである。トランストップ機構はこれまた心ときめくしかけで、発売以降の20年間、プラモデル買ったり特集記事雑誌を集めたりの入れ込み様だった。しかしながら、内容的にはトランストップや2シーターを除けばこれまで楽しんできた HONDA DOMANI SI-G と重なる部分が多く躊躇していた。サイズ的にも感覚からすればもう少し小さければと思っていた。

 10年選手ミッドシップ軽Zを乗り始めてから2回目車検が切れるのを機にやはり CRX Del-Sol かと、年代物の割には値崩れしない中、狙いを定めて手に入れようとした物件は既に売れていた。そんなこんなの中、小ぶりでキュートな2シーターが目に止まった。ハイブリットやプラグインの時代にハイオクしかも2シーター故か、相当値崩れしているプジョーのクーペカブリオレ 206CC である。フランスのコーチビルダー、ユーリエ作とある。

Peugeot 206CC

 なにより、小ぶりなのが良い。後席常時折りたたみミッドシップ軽Zでの街中買い出しスーパー駐車場は小さいに限ると痛感。スペシャル感あふれる内外装、電動格納式ハードトップはSLKにも通じるコンセプト。

Peugeot 206CC

 ハードトップを畳み込まなければ、トランクスペースは深くて大きい。週末買い出し時に必須のクーラーボックスを常に積み込んでいるので、この容量ならOK。が、トランクは室内からは開けられず、必ずキーで外から開ける必要がある。雨天買い出し時、少し困った事態。カミさんとの共用の為のシートリフターは付いているものの、残念ながらカチャカチャ手動。そして、別掲 AVENSIS では暫く経ってから気付いた雪道スイッチ、なんと付いているではないですか。206 シリーズは当たりに当たったモデルらしい。ただ、AT車はAL4とか云う特有の温度センサーかなにかの持病があるらしい。また、細々としたトラブルを笑って対処する度量も必要らしい。

 早速いつもお世話になっている整備工場さんへ相談したところ、10年落ちのなにわナンバー車がやって来た。軽Z同様、平日は通勤、週末はスーパー買い出しに使い回す予定。ホイール付き格安冬タイヤや、付いてきた45扁平の夏タイヤの代わりのホイール付き格安品を探したり、オープン時背後からの風の巻き込みが激減するというウィンド・ディフレクターの格安品を西ドイツから手に入れたり、オイル交換時のドレインボルト回し工具やプジョー用銅製ドレンパッキン、リモコンキーのスイッチ部分が壊れやすいらしく出回っているキーの交換用殻やトランク開け専用にとブランクキーを入手したりの日々。それにしてもである。最近テロで緊張が高まっているパリ、所用で滞在、地下鉄やバスを乗り継いで目的地へ通った事が思い出される。そんな思い出の地からやってきた動物マーク激戦地域のライオン、プジョーである。

 納車整備でリヤ右側ブレーキパッドが3mm程度しか残っていない片減り気味との報告に、調べてみるといました、交換詳細をブログに載せてる先達の方々が。これなら自分で出来るかも知れないと早速挑戦。うまくいったかどうかは、12ヶ月点検時に行う事にしているタイミングベルトやヘットカバーシール交換と併せて見てもらう事にしていたが、問題なし。測定データからはバッテリーもそれなりに疲れている値なので、いきなりトラブルとなる前に近々交換してみようかと。予想通りリモコンキーは押しボタンスイッチ部分が破れていたので、早速交換用殻と入れ換えてみたが、エンジンがかからない。すわ故障かと何度か試すと、インジケーターにイモビエラーとの表示が。イモビチップを新しい殻に移植し忘れたのが原因。よかった故障でなくてと一安心。その後、タイミングベルトを始めベルト類やシールを交換し、更にクーラント漏れが見つかり持病のサーモスタッドハウジングも追加交換。しばらくしてオートマチックの変速タイミングに幅があるので、先達の皆さんがやっているATF交換を思い立ったのは良いが一気にATFを入れ換えると故障を誘発する厄介物らしく、いつもの整備工場さんには辞退されてしまった。これは困ったと県内をキーに探す事数日、イオンのシネマコンプレックスがある街になにやらジムカーナーの車やら沢山のヨーロッパ車を手がけているらしき整備工場を見かけ訊いてみると、プジョー等のATFは少しずつ何回にも分けて入れ換えないとスラッジが悪さをするとかやたらに詳しい説明に納得、早速お願いした次第。10年落ち故ATFが汚れっぱなしではないかと心配していたが、きっちり整備されていた風でさほど汚れていなかったとの事。その後は定速できっちり変速する様になり、効果抜群。それにしてもかの整備工場、ポルシェやらケータハム、ハマーやらが整備待ちで当方にとってはワンダーランド。その後起動時作動の電磁スイッチ部分の消耗らしくセルモータが動作しにくくなり、いつもの整備工場さんで部品指名で交換。更に持病らしいエアバック警告灯が徐々に点灯する様になり、先達情報で座席下のカプラーやバッテリーなどを弄って見るも効果無く気配からコラム回りの配線が切れかかっていると思われ、これは本格的な修理とこれまたいつもの整備工場へ訊くもテスターが無いと辞退され、またまたATF交換をお願いした整備工場へ。話しを訊くとスパイラルケーブルがどうのとまたまたやたら詳しく頼もしい。詳細調査でやはりコラム回りの断線、ネット情報通り206シリーズはアセンブリ一式交換。話しを聞くと、断線しかかったのを感知してECUが電圧を制御している挙動をしていた様子。ワイパーは信号待ちで間欠作動になるし、キーを抜いてもしばらくしてからのルームランプ消灯や電気系統完全断(リレー動作音がする)等々、ECUがかなり関与してくる造りと感じていたが、給電系統配線の不調時にもエアバックへ適正電圧を供給すべく送り出し電圧までも制御していると理解した。これで10年落ちのトラブルは一応終息か。

 買い出しに使用してみた感じでは、小ぶりな車体なので駐車が楽、トランクは予想通りの大容量なものの開けて上げるのがとても重いと判明。この重さは、電動屋根開閉機構が仕込まれているせいと思われる。両手一杯の買い出し荷物の私に代わってトランクを開け閉めするかみさんが大変。山脈横断を含め乗り回して判った事はシフトアップが遅め設定でエンジンブンブン高回転、しかしながら、シフトがシームレスな感じでなかなかに気持ち良い。インジケータにリアルタイム燃費が表示されるので、シフトアップしないエンジン高回転時の様子を注視していると、マニュアルで最高段(4速)にむりやり入れても、シフトアップしたがらないオートマ3速エンジン高回転でも瞬間燃費的には大差ない様子。どうやら3速エンジン高回転時、負荷が軽いと燃料をカット気味にしているせいではないかと思えてしまう。このシフトアップの遅さ(エンジン高回転気味)は、そういえば別掲DOMANIでもそうだった。作り手の風土的にブンブンエンジンを回しながら小気味よく走る文化があるのかも知れない。アクセルを離すとエンジンブレーキを効かしたいのかすぐシフトダウン、これは私の感覚にピッタリマッチ。ワインディングロードも、シートのせいか車体硬性感のせいか猫足のせいか、これまでに無いフラットな乗車感で、これはいける。特に街中にしろ空いている幹線路にしろ3速、4速と路面に密着するかの様に伸びる加速感、そしてシルバーに輝くシフトノブのウットリする触感で積極的にシフトする度に恍惚の人である。ただしやはり10年落ち、屋根が切れている折り畳みハードトップの事も有り、屋根付近からギシギシ音。これはいただけないと、ゴム再生スプレーの掛けまくり。が、残念ながら全く効果無し。それではとネットを調べるといました、先達の人が。どうやら「ワコーズフッソオイル105」と云うスプレーが利くらしい。早速手に入れて、ギシギシ音発生源とおぼしき結合部に吹き付けると、新車時はこんなに静かだったのと驚きの効果。しかし大きな段差があったりするとまだ金属質のギシ〜と云う音が屋根とAピラーのロック付近から出ている。どうやらロック用フックとピンの擦れる音らしい。色々試して最終手段、フック側に電工テープのぐるぐる巻きとした。これでやっとストレスフリー。シートはへたっているのか、背中の当たり具合がヘッドレストの無い数十年前のバケットシートに座っている感覚、若かりし頃クーペ乗りだった事もあり懐かしい。この着座感、意図しているかも知れないとの思いがよぎる。サイズがコンパクトでインテリアデザインが性に合っているせいか、妙にすっぽりと包まれる様な空間にストレスフリーなドライブ感覚。そして遂に降雪、日中でもマイナスの季節がやって来た。スノーモードは確かに出だしが緩慢、更にABSは比較的穏やかに作動する感じである。

 前オーナーがインパネにナビを付けた為か純正オーディオが助手席足元へ追いやられていたので、正規デザイン状態で乗りたいと納車直後にナビを取り外してオーディオを正規位置へ戻していた。調べてみるとどうやら純正オーディオ、一台毎に取り付け側のECUコンピューターと認証を行っているらしく、他から買ってきた場合ただ取り付ければ使えると云う構造にはなっていないらしい。さすがにヨーロッパはセキュリティが厳しいと実感。幸いにも単に助手席足元へ移動しただけだったので、元に戻してECU認証は必要無かった。オーディオのコントロールをハンドル直近のコントロールスティックで手元で行え、更にオーディオ情報がインパネ中央の集中インジケーターへ表示される設計は大いに気に入っている。しかし、オーディオの再生音は、高域がキンキンと音が割れてなにか変だった。高域専用スピーカーのエッジがへたって音割れがしている風でもなく、スピーカー周りと云うよりはアンプに原因がありそう。何か、リレー接点接触不良か、イコライザの高域側のコンデンサの容量抜けで位相が大きく暴れている、そんな感じなのである。ま、十年落ちなのでコンデンサの容量抜けは致し方ないと、キンキン高域再生音のまま我慢している事4ヶ月、ここに来て急に高域が徐々にキンキン云わなくなってきた。一週間の間に、劇的に高域音質が改善、おそらく正常特性と思われる所まで復活した。これはラッキーである。再生通電を繰り返している内に、容量抜けコンデンサがある程度まで復活したと云う事か。と云う事は、この車、当方が使い始めるまで長い事不動状態にあった可能性が高い。206CCにはJBL搭載モデルも有ったようだが、この車はJBLスピーカーは載っていないものの、高域復活後の再生音、なかなかに聴ける。

 それにしても、オープンエア・ドライビングは爽快。


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